塗装① 目次
各項目名をクリックすると詳細をご覧頂けます.

1.外壁塗装は化粧直し?

外壁の塗装を「家を綺麗にお化粧し直す」だけだと思っている方が多いのではないのでしょうか。実は、大事な住まい・資産を長持ちさせるために、危険な状態を知って定期的に行うことが重要です。
従来、外壁塗装の寿命は7年~10年ぐらいといわれていますが、このペースでは家屋の寿命(30年~40と言われている)の間に3~4回の塗替えが必要な計算になります。 しかし、最近の塗料は耐久性が良くなり、その塗替えを1~2回程度減らすことが可能になってきています。
また、一度塗装工事をしてしまうと、次回に行うまでには10年程後になってしまいます。高いところでの作業だけに、他に必要なことも考慮し、外部のトータルメンテナンスとして考えましょう。
外壁塗装については、お伝えしたいポイント沢山ありますので、2回に分けてお話しようと思います。
1回目の今回は「外壁種類と塗装」「塗装劣化の悪影響」についてです。

目次に戻る

2.外壁の種類と塗装

・サイディング
一般的に5~10年がメーカーの推奨する塗替え時期となります。現在のサイディングでは、長持ちするコーティングや塗膜が使用されていますが、それでも10~15年が目安でしょう。再塗装をすると、凹凸デザインは残りますが最初の意匠性(細かい色のグラデーション)が失われてしまうので、どう変わるかしっかり打ち合わせが必要です。

サイディング

・リシン
和風の家に採用され、掻き落とし(左官施工)と吹付け(塗装施工)があり、塗装寿命は10年程度が目安。凹凸があるため汚れがどうしてもつきやすく、下地モルタルの収縮によるひび割れも発生しやすい。ひび割れを放置しておくと水が入り、補強の金属を劣化させ下地のモルタルごと落下する危険性がある。ひび割れは、V字カットして補修材充填するなどしっかりした処理が必要。再塗装すると、塗膜が石のへこみにも入り込み少し優しい感じの仕上がりになります。

ジョリパット

・ジョリパット
アイカ工業さんの商品名。リシンとほぼ同じですがまだ新しい素材。いろいろと塗りの模様をつけることができるため、個性的で最近は人気となっています。
再塗装は10~15年程度が目安です。

・カラートタン
サイディングが主流になる前の家が多い。海沿いで潮風には特に早目の塗替えが良い。 素材の厚みが薄いため、錆での劣化は致命的。5~7年程度の塗装が目安です。

カラートタン

・ガルバリュウム
アルミ亜鉛合金がメッキされた鋼板。まだ新しい素材で和洋いずれも採用され、価格がリーズナブルで錆びに強く軽いのが特徴。屋根材としても採用されていることもあります。
メーカーが保証する10年(最近は15年も)を越えると再塗装の必要。

・タイル貼り
高価なため一部の壁に使用されていることもありますが、劣化しにくいため塗装の必要のない素材。ただヒビ割れ・欠けは、裏側に水が浸入して剥離落下の危険性もあるので、早めの補修が必要です。また、メンテナンスとして、サッシ窓等の廻りのシーリング打ち替えが15年程度で必要となります。

目次に戻る

3.塗装劣化による悪影響

塗膜は劣化すると表面が荒れてしまうため、よくみるとかなりの凹凸状態。ここに水分と汚れが入り、特に北面では、これを栄養分として梅雨時にはコケやカビが繁殖してしまいます。このコケやカビが更なる水分と汚れを引き込み、より成長し、根が塗膜だけでなく、基盤である素材(サイディング等)を削ってしまいます。
それにより、雨から守るはずの外壁が、雨が降るたびにかなり重い服をまとう状況となり、雨漏りと同様に家屋への深刻な問題になってしまいます。

塗装劣化による悪影響

目次に戻る

4.塗替え時期はどうやってみるの?

触ると手に白い粉がつく(チョーキング)ようになったら、塗膜が劣化している証拠です。水分を含み易いので、コケ・カビの発生にもつながります。
そうなると素材の劣化雨漏りの原因になり、再塗装ではこれの除去の手間が余分になってしまいます。
早めに塗替えを検討しましょう。

チョーキング

塗装業者さんからの営業訪問・ダイレクトメールがくるようになったら、ほぼその時期に来ているといえるでしょう。

目次に戻る

5.なぜ塗装は劣化してしまうのか?

太陽光には、①紫外線 ②可視光線 ③赤外線の3つの波長域があります。なかでも目に見えない①紫外線が塗膜の有機物(着色部)を分解させて粉ふき状態にするため、色あせとなってしまうのです。肌や目にも①紫外線は悪いといわれていますよね。

目次に戻る

6.塗装の良い時期は?

昔は、暑い夏は塗料が伸び過ぎてしまったり、寒い夏は逆に厚くなり過ぎたりという理由で、春や秋が適しているといわれました(私も少し前までこのように説明していました)。
しかし、最近では塗料の質が良くなったため、どんな時期に施工してもその仕上げの状態や性能はほとんど変わりません。
ただ、塗装は雨(水分)だけが大敵です。いつでも良いと言っても、暑い時期・寒い時期は職人さんの作業効率が少し落ちるので、梅雨入りまでの春季か台風シーズンが去った秋季でのご依頼が多いのは事実です。
近年、春先に黄砂が沢山飛来するので、この時期も外したほうが良いでしょう。

目次に戻る

7.自分で塗替えすると・・・

ホームセンターなどで販売されているペンキ(合成樹脂塗料)は、プロが使用する(ウレタン・シリコン・フッ素など)ものと性能が根本的に違います。
塗装直後は良いのですが、紫外線に対しての耐候性の違いからすぐにつやが引けてしまいます。
錆などの下地の処理やシーリングも不十分になりがちで、塗継ぎ・塗りムラにより思うように綺麗に仕上がらないことが多いようです。
作業も脚立やハシゴといった不安定な状況下になりがちで、転落により骨折などの大怪我をする危険性もあります。 また、その後プロの手で施工しようとしても、元の塗膜と下地の密着が悪くてそこで剥がれてしまうことがあるために、良い塗膜での施工ができなくなるのが大きな問題です。

目次に戻る

ペンキ

8.外壁塗装における色を選ぶにあたって

<外壁>
・既存の外壁の色を基準に選ぶ
既存の壁を基準にする際には、北面など太陽光の影響を受けていない面なら、元々の色に一番近い色となります。
・気に入った色目のお宅が近所にある
近隣に気に入った外壁色のお宅があるようであれば、その旨業者に伝えます。プロの目で実物の色の識別をしてもらって、これを参考に決定するのが良いでしょう。
・「(財)日本塗料工業会」の見本から選ぶ
番号 : 一番上の記号が「Y~YR」の中から選択が一番多くお勧めです。その短冊の中でも一番下の濃い色は避けた方が良いでしょう。
色 : 赤「R」、青「B」、緑「G」など原色に近い色は、紫外線の影響を受けて色がさめ易いので避けた方が無難です。 
濃淡 : 広い面積では見ているサンプルのトーン(濃さ)より、1~2イメージ白く(明るく)なりますのでご注意ください。濃すぎる色はさめ易いとされています。
<樋・破風>
・外壁とは違う色にしつつ、こげ茶や黒・グレーなど縁を切ってすっきり見せるため、外壁より濃い色を選びましょう。
・外壁の色を決めていただければ、おまかせでもOKです。
<軒天>
・真っ白の色を使用するのが一般的です。色をつけても構いませんが、他とのバランスが難しいですし、塗料自体が外壁と違うので事前打合せが必要になります。

目次に戻る

9.細かい配色のサイディングの塗装はどうするの?

工場での色づけされた細かい配色や色のグラデーションは塗装では再現できません。
2階建ての場合は、1・2階での縁を切って色替えする程度になることも多いです。 破風や鼻隠し・水きり板金など、素材の違うところの色づけも考えて配色するのが良いでしょう。
タイル調の場合は、まず凹部の目地を色付けして凸部に色を載せて元のように施工は可能です。慎重な作業なので少し時間は掛かりますが、仕上がりは綺麗です。

塗装劣化による悪影響

目次に戻る

10.屋根材の塗装

屋根もカラーベストといわれるものは、サイディングとほぼ同じ構造のため、外壁と同じ時期での塗装が必要です。これを怠ると壁より雨漏りなどの深刻の問題になりますし、劣化により割れ易くなります。
もし割れていたりした場合は、しっかりとシーリング処理して塗装します。
カラーベストの下側の隙間は、万が一雨水が浸入した時の排出先ですので、塗装後は縁を切る(事前にするケースもある)ことは重要な作業の一つです。
なお、焼き物の瓦(日本瓦、陶器瓦)は塗装の必要はありません。

塗装前
塗装前
塗装後
塗装後

目次に戻る

11.濃い色薄い色の劣化の違いは?

濃い色も薄い色でも、紫外線で劣化するのは同じです。
ただ、劣化するにあたって粉がふいてきます。これが白っぽいため、淡い系統の色のほうが目立ちにくいのです。
どちらかといえば、色相(色の違い)で青や赤のように原色に近い鮮やかな色は紫外線によってさめやすいと言われています。

目次に戻る

12.塗装してはいけない、塗らないほうがよいところ!!

前述の焼き物の瓦は絶対塗装しては「だめ!」です。高温で焼き上げた表面素材は耐候性が非常に強いので、これに塗装することによって再びメンテナンスしないといけない時期が発生してしまうことになってしまいます。他には、基礎などのコンクリート部やアルミサッシ部です。元々耐候性があり錆びにくい素材であること、また塗装では素地と塗膜の密着が強固になり難いため剥がれ易い欠点があるためです。
ただ、顔つきの悪くなってしまったサッシ扉やアルミ鋳物門扉への塗装の場合には、適した塗料・工法にて施工することはできます。
ただし、傷に弱いので注意が必要です。

目次に戻る

13.塗装の日数と工程は?

一般的な戸建住宅の場合の塗装日数ですが、多少違いはありますがほぼ2週間です。雨での作業中断などの予備日などを入れて、足場が掛かっている期間は3週間になります。
工程ですが、
近隣の方へのご挨拶:事前に行うことが大事です。音や臭い、工程についてお知らせしましょう。
1日目:足場の組立て
2日目:高圧水での洗浄で表面の劣化した粉や汚れを洗い流します。
その後:本格的な塗装を実施
最終日:足場解体に1日を想定しております。

目次に戻る

14.塗料ができない屋根材とは

日本瓦(いぶし瓦)
日本瓦(いぶし瓦)

・瓦表面の炭素膜が密着しにくいため
塗装可能!

・長い年月を経て炭素膜が剥がれて
変色している場合が多い

陶器瓦(釉薬瓦)
陶器瓦(釉薬瓦)

・瓦表面のガラス質の釉薬が密着しにくいため
塗装不可!

・長い年月を経ても綺麗な場合が多い
裏面はオレンジ色

目次に戻る

塗装②へ続く

塗装②では、塗装と一緒にするとお得な一例と、長い目で見れば“お得”になる高耐久・長寿命の塗料「フッ素」「シリコン」、「ラジカル制御無機塗料」、塗るだけで「遮熱」といったプラス効果のある塗料についてお話いたします。

目次に戻る

リフォームの知っているようで知らないこと